2013年3月7日木曜日

朝日新聞デジタル:今夏めどに帰還工程表を作成 原発避難区域見直しへ

今夏めどに帰還工程表を作成 原発避難区域見直しへ

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帰還困難区域などの状況

 安倍政権は、東京電力福島第一原発事故で避難している住民の「早期帰還・定住プラン」をまとめた。国はインフラ復旧や雇用確保などに取り組み、関係自治体は今年夏をめどに工程表をつくる。新たに福島県の浪江町、富岡町、葛尾村避難指示区域を見直す方針も決め、浪江町の大半を5年以上帰れない「帰還困難区域」に指定する。

 プランは7日に開かれる復興推進会議と原子力災害対策本部の合同会議で示される。この場で3町村の避難区域の見直しも決める。

 政権は今春をめどにすべての避難区域の見直しを終える方針。プランでは早期帰還を目指す「避難指示解除準備区域」を念頭に、1~2年で住民が帰還し、定住できるようにするための国の取り組みを定めた。

 工程表に基づいてインフラを早期復旧させ、災害廃棄物の処理や除染を着実に進める。放射線からの不安を解消するため福島第一原発の安全性を確保し、きめ細かな放射線モニタリングにも取り組む。2月に発足させた福島復興再生総局によって十分な予算確保と柔軟な執行を進め、賠償の丁寧かつ迅速な対応も行う。

 その上で生活を再開できるように、(1)生活環境の整備(2)産業振興・雇用の確保(3)農林水産業の再開――を重点3分野に掲げた。

 対象区域を抱える自治体には、今年夏をめどに帰還に向けた具体的な工程表の策定を求めている。

■浪江町は大半が「帰宅困難区域」

 東京電力福島第一原発事故の避難区域で、新たに福島県の浪江、富岡両町と葛尾村の見直しも決まった。5年以上帰れない「帰還困難区域」には、浪江町の大半の地域のほか、富岡町や葛尾村の一部も入る。福島第一原発がある双葉町や、川俣町は今春をめどに見直す方針で、すべての避難区域の再編を終える予定だ。

 避難区域の見直しは、葛尾村が22日、富岡町が25日、浪江町が4月1日から実施される。

 政府は昨年4月から原発周辺の11市町村を対象に避難区域の再編を進めている。年間換算の放射線量に応じて、帰還困難区域のほか、5年以内の帰還を目指す「居住制限区域」、早期帰還を目指す「避難指示解除準備区域」の3区域を設定。これまで川内村や大熊町など6市町村で見直しを終えた。

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■早期帰還・定住プランの骨子

【基礎となる取り組み】(1)インフラの早期復旧(2)災害廃棄物などの処理(3)除染・中間貯蔵施設の進展(4)原発の安全確保(5)十分な予算確保と柔軟な執行(6)丁寧・迅速な賠償

【生活再開への重点分野】(1)医療、商業など生活環境の整備(2)産業振興と雇用確保(3)農林水産業の再開

【今後の流れ】国は避難指示解除を待たずに施策を実行し、自治体は今夏メドに工程表を策定

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